藤沢市長あての要請書(2008年8月12日)

 
 

平成20年8月12日

藤沢市長 海老根 靖典 様

 

武田薬品工業叶V研究所計画に関する要望書

 

武 田 問 題 対 策 連 絡 会

共同代表   青柳 節子
同   小林麻須男
同   平 倉   誠
同   宮澤 政文
同   斎藤 勝彦
同連絡先  木村 直人
 

日頃、市政運営にご精励頂き感謝申し上げます。
標記の件につき以下の通り要望申し上げます。

 

武田薬品工業株式会社が鎌倉市と藤沢市に位置する旧湘南工場敷地に計画した新研究所建設事業は、神奈川県の環境影響評価条例に基づき現在県環境影響評価審査会にて事業者の作成による環境影響予測評価書案の審査が進行中です。

今回の新研究所建設事業に対し、本年3月、多くの市民が。危険性の高い病原体を扱うP3施設関連を含め予測される研究実験内容に関する情報が乏しいうえに、人口密集地域で不測の事態を防ぎにくい立地や、異常に大量な水、大量な空気を消費すること、病原体の完全な「物理的封じ込め」は不可能であることなど、意見書を提出し、多くの疑問点を提起しました。

しかし、事業者の回答に当たる「見解書」(5月に縦覧)を精読しても疑問は解消せず、ことにバイオ関連については逆に不安が募るばかりでした。 また、7月5日、公聴会においては21名の公述人全員が、新研究所の活動により、自らの生命・健康を損ない生活環境を悪化させる可能性が大きいと危惧しそれぞれの懸念を県に訴えました.さらに、7月21日に開かれた武田薬品主催の説明会においても、住民の質問にたいして、誠意ある具体的回答は得られず、依然として私どもの不安と恐怖の念は払拭されていません。
とりわけ藤沢市民においては、武田研究所から強制換気される膨大な汚染排気と共に、危険なバイオ・P3・動物実験等の汚染排水が、住民協定を無視して大清水浄化センターに流し込まれ、下流の境川や江ノ島に放流されることに危惧を抱いております。

かかる事態の下で、このたび、武田薬品新研究所建設によって影響を被る藤沢、鎌倉市民が上記「武田問題対策連絡会」を結成し、別紙のように、アセス評価案から大量の排水やバイオ関連が除外され、住民の不安に答えていない問題点を、武田薬品宛て公開質問状をとりまとめました。(別添資料「新研究所計画に関する公開質問状」参照)、藤沢市長におかれましては、是非、公開質問状の内容をご検討頂き、住民の不安を払拭して頂くようお願い申し上げます。

今回の事態について、私どもは県のアセス条例に起因する「武田薬品の不十分 なアセス評価案」によると考えております。

神奈川県のアセス条例は、条例で定める評価項目(施行規則第3条関連)について、事業者に評価書案を作成させ、それを20人の評価委員から或る審査会が審査することとなっていますが、関係地域住民にとって最も重要な汚染排水やバイオ災害リスクにかかわる検討は、今回の評価項目の中に含まれていません。
昭和55年に制定されたこの条例は、もともとバイオ災害を想定外としていたと考えられ、今回、武田薬品の研究所進出の事態に際し審査担当する20人の評価委員の選任にしても、最も重要な分子遺伝学、バイオ実験技術またその危機管理などの専門家は、唯の一人も人っておりません。 従って、事業者(武田薬品)は、条例とバイオ災害を、まともに取り扱う必要はなく(条例上の不備)、事実、評価書案の中でバイオ災害リスクについて評価し、それを説明・分析し、対策を定めることなどについては、何も記されておりません。市民の安全にかかる数々の質問に対しても、武田薬品の見解は、「関係法令に基づいて適切に対処することにより、住民の安全は担保されている」といった、おおよそ根拠にならない抽象的な一言で済ませてあるところが12ケ所もあり、住民に対し科学的で具体的な説明を全く忌避しているといえます。

また、条例で決められている19の評価項目のうちでも、住民にとって公害上最も重要な「水質汚濁」、「低地の液状化対策」、「地盤沈下」また「文化財」など、9項目が採り上げられておらず、きわめて不完全なアセス評価案となっています。端的に言えば、社外にたいしバイオ関連など除外項目は自社の計画の策定に際し配慮する項目ではない、と結論したものとしか理解できないこととなります。(武田薬品の記述によれば「選定しない理由」は、「環境に与える影響はほとんどない」という解釈だとのことです。)

採り上げられた「大気汚染」「悪臭」、また「廃棄物・発生土」の項目についても、当研究所が、大規模な動物実験室と、実験済み動物の火葬場<注1、処理能力1.8トン/日(6時間稼動)…15kgの猿換算120匹/日>、大規模廃棄物の焼却炉2基<注2、各200k g/時>を併置した巨大なバイオ研究所<注3、排気量〜東京ドーム150杯/日、水使用量〜4300立方メートル/日…50mプール2杯分/日>としての観点からして、適切な環境影響の分析を行ったとはとてもいい難いものです。

結論的にいえば、評価書案は、「環境アセスメントとは言えないほどずさんな内容」(新聞の見出し)ということであり、先月の県の公聴会において21名の公述人が、市民の生命と健康および生活環境についての危惧を表明したのも、基本的に「不十分なアセス評価案」に原因があります。

つきましては、藤沢市長におかれましては、この点をご認識願い、神奈川県にたいしアセス評価のやり直しを答申されますよう、要請いたします。藤沢市民の健康と安全を守り、また湘南江の島の自然と環境を守るため、今後とも、住民協定、条例制定を含め、市長のご尽力をお願いするとともに、本件にたいして格段のご高配をお願い申し上げる次第であります。 

以上