武田薬品は説明責任をはたせ

 

鎌 倉 市   鈴  木  信  成

 
 
私は、鎌倉市関谷に住んでいる鈴木信成です。前の方々が、いろいろ具体的にポイントを突いたお話がありましたので、私自身も同じことを言いたいということもありましたが、要約して大体3つぐらいのことを話したいと考えています。
 

武田薬品工業の見解書は不十分

 
一つ目は、武田薬品工業の見解書についてです。環境影響予測評価書案に対する意見が皆さんから出たわけですけれども、それに対して、武田が回答、見解書を出した。その内容は、「今までずっと安全でありましたという実績がありますよ」という強調と、それから「法令を守っていますので、全く安全でございます」ということに終始していると思います。しかし、ことごとく安全性を何か実証できているというものがほとんどないという評価しかできないと思っております。
 
次に、今後新しく、実績のないP3の実験を含む新研究所だというにもかかわらず、それに伴う社内とか社外の安全の管理体制はどうなっているのか。それを防ぐための装置が、どうも一つ一つは100パーセントよいものではないということが明らかにされてきています。また不明であるということが問題です。どのぐらい総合的に、しかも継続して、これから何十年、研究所があるんでしょうが、武田からは、それにともなってどういうことをするんだということが、管理体制、先ほど言った訓練とか、そういうことも含めて何にも触れられてない。これはあまりにも無責任だなと思います。
 
さらに、現状の法令や県の条例、あるいは環境予測の評価の規定です。こんなものは一般的には最低限の基準というふうにしか言えないし、法令遵守というのは当たり前のことで、それで住民がこの見解書で安心したかというと、だれも安心してないということが明らかになったかと思います。
 
また、実際には、特に人間の体に害を及ぼすようなウイルスとか毒性の薬物、それから先ほどから出ている遺伝子組換え生物とか、薬を作るためのいろいろな化学物質を必ず抱えていて、新しい薬を合成するはずですが、そういう材料をどういうふうに管理しているとか、いろいろなものを流出する、さっきから出ている気体になったり、水だったりするわけですけれども、それを防止する安全対策がほとんど不十分であると思います。これは、見解書のどこにも書いてありません。
 
 

周辺住民の健康と命、安全・安心を重視せよ

 
二番目に申し上げたいのは、周辺住民の健康と命、それから安全・安心というものをどうするかということについて、武田薬品はほとんど考えていないのではないかと思います。武田自身は、大きな社会的責任を持っているはずです。当然、周辺住民の安全対策等について説明を十分丁寧にやる義務があると思います。そのことが今回はなかなか見受けられません。
 
武田は製薬会社ですから、人の命とか健康を守るというのが目的の1つであって当たり前のことですから、そういうことについて詳しく自ら知っていると。内容がどの程度安全なのか、危険なのかということを、だれよりもよく知っているはずの会社ですよね。そういうことであれば、自分自身のことだけじゃなくて、周辺住民のことをやっぱり配慮しないといけないと、できるはずだと思いますが、どうも今回の見解書を見る限りでは、そういうことがありません。現状の法令遵守程度のことでよいかということは非常に安易な考え方だと思います。そして、法令遵守の程度のことでやっているのではなくて、これからきちんとやるんだと、P3とかそういうことについても、それなりの準備を整えてから建設計画を立てるということでないと、あまりにも住民無視と言わざるをえないと思います。
 

武田薬品は説明責任を果たせ

 
いろいろな心配がはっきりしてきたんですけれども、それに対する最大限の努力と配慮といいますか、この説明責任が、やっぱりまだまだ足りないと思います。
じゃ、どうやって解決するんだということになりますと、一番被害を受けやすい周辺住民が納得できるような方法をとるべきだと、私は思います。圧倒的によく知っているのは武田の方なんですね。それなのに、そういう知らない人たちに対して、全然説明責任を負わないというのは、これは全く問題があると思いますし、特にこれからは地域のコミュニティーを考えたときに武田だけが特別ではないと、是非考えていただきたいと思います。
 
武田薬品は国際的にも優秀な企業で大企業ですから、社会的な責任は極めて大きいと思いますし、「自分の社内からの公害発生なんていうことは絶対許されない」、そういう立場にあると思います。特に新研究所は、ほかの国際的な同業者に比べても、安全管理については世界一のものを作る、そういう立場にあるんじゃないかと思います。だから、それをみんなに納得させなきゃいけない立場にありながら、このようなずさんな見解書では済まないと思います。
 
じゃ、どうやったら皆さんにそういうことを理解してもらうかという努力の一つとして、周辺の住民と、それから県と市と、第三者の学者というか、専門家ですね、そういうものと武田と協議会といいますか、審議会といいますか、そういうことをまず作って、それによってWHOとか、国際的な基準や何か、ほかの進んでいるところがいろいろ日本国内にもあるでしょうし、そういうところのものを調べるとかして、新しい基準をここで作っていく、そういう目標を持ってやるべきじゃないかと思います。そうしないと、いずれにしても、法制化は最後になるかもしれませんけれども、少なくとも安全の協定書のようなものを自治体なり市民との間で結ぶということを目標にしていただきたいと思います。
 

神奈川県や藤沢市、鎌倉市、横浜市に対して

 
神奈川県や藤沢市、鎌倉市、横浜市は、安全や安心についての責任や義務があるのは当たり前のことで、現状は、受け入れる方向での議題にはいろいろなりましたけれども、住民の中で心配や不安の声が広がっているということについては、まだ非常に薄いレベルの常識しかないんじゃないかと私は思います。これがまず大体大きな問題だと思いますけれども、明らかにそのことを改めていただきたい。
とにかく、残念ながら今のところは安全・安心が確保できているとは思えません。よって、先ほどからも出ていますように、住民説明会で具体的に危険がないということを、設備の面から社内の訓練、社外の訓練とか、そういう総合的な観点からの安全説明を是非繰り返しやってほしいと考えます。
 
そして、県当局には、今度の公聴会で終わりということにはしないでいただきたい。単に条例上のスケジュールをこなすのではなく、周辺住民に重点を置いた対策を是非やっていただきたいと思っております。
県が今後も継続して安全確保に努めるということを期待して、発言を終わらせていただきます。
 
植木小学校の玉縄桜  
(本稿は、2008年7月5日に行われた公聴会での発言に加筆していただいたものです。)