実験内容からみた
武田薬品(バイオ・動物実験)研究所建設の危険性

 

(武田薬品研究所分析レポートNO2)

 

2008年7月  藤沢エコネット環境影響部会 

連絡先 小林 麻須男(0466-44-0375)

 

                          
武田薬品が、現在計画している新研究所の実験内容について、我々市民が知ることが出来るのは、環境影響予測評価書の「対象事業の目的又は実施を必要とする理由」の項(1〜3p)、並びに「施設の概要」の項(119p)である。
薬学的知識の乏しい市民にとって、これだけの情報からその全貌をうかがい知るのは難しいが、同研究所の実験内容並びに排出物が地域市民に与える影響について、武田薬品から出された環境評価書並び見解書を下に、実験内容と廃棄物の危険性について考察してみた。

1、新薬開発実験は、危険な化学実験・動物実験と表裏一体

武田薬品新研究所実験内容については、対象事業の目的の項で、医薬品開発のプロセスが図示してあり(図1−1、医薬品研究開発プロセス)、色つきの項が今回建設する新研究所で行う実験内容と説明されている。新薬開発の基礎実験に当たる部分である。ここでの説明によると、新研究所では、
@、遺伝子組み換え実験やタンパク質解析などの実験を行うことによって創薬に適した化合物を作り出す生化学実験、
A、生化学実験から得られた化合物の中からハイスループットスクリーニング、ドラッグデザイン、化合物ライブラリーとの照合等により、より薬の元に近い化合物を抽出する創薬化学実験、
B、更に、その薬効を動物実験等で確かめる薬効薬理研究
の3段階の実験を行おうということになっている。
しかし、今回武田薬品が新研究所で行おうとしている新薬開発実験は、危険なバイオ、遺伝子組み換え、動物実験、RI実験等の基礎実験を伴うものであり、安全性だけが強調されるべきものではない。危険な化学実験、動物実験と表裏一体の開発リスクを前提にした創薬実験を行うことが、人口密集地で適切かどうかの観点から研究所建設の是非が論じられねばならない。

<15棟の実験内容>
そして、今回建設する15棟の実験施設の研究内容について、「施設の概要表」(表4−3−3−1)で、次のように説明されている。  

1棟〜創薬化学実験(薬の元となる化学物質の合成・改良実験)

2棟〜〃(〃)

3棟〜〃(〃)

4棟〜ハイスループットスクリーニング施設、ドラッグデサイン施設、P3実験設備

5棟〜〃  化合物ライブラリー、RI実験設備、P3研究設備

6棟〜生化学実験(薬の標的となる生体内のタンパク質探査・調製、遺伝子組み換え)

7棟〜〃(〃)

8棟〜〃(〃)

9棟〜〃(〃)  薬物動態試験(動物実験)

10棟〜薬剤安全性試験(動物実験)、RI実験設備

11棟〜薬効・薬理実験施設(動物実験)

12棟〜〃   (動物実験)

13棟〜〃   (動物実験)、P3実験設備

14棟〜〃   (動物実験)

15棟〜薬剤安全性試験(動物実験)、 

安全性が問われる実験棟としては、上記施設の網掛け部分、遺伝子組み換え実験〜4棟
動物実験〜7棟、P3研究施設〜3棟、RI実験施設〜付属棟とあわせ3棟が上げられる。

<実験内容の危険性>
疫学的、生理学的に安全性が問われる実験棟としては、上記4施設が上げられるが、個々の実験内容の安全性について検討してみよう。
@、遺伝子組み換え実験
どのような実験を行うか定かでないが、P1,P2、P3すべての実験棟で遺伝子組み換え実験が行われることになっており、この実験によってこの世に存在しない生物が創設される。遺伝子組み換え生物が、研究室の外部に流出した場合、重大な生態系変化を引き起こす危険性を持っており、排気、排水、人を通じて外部に流出するようなことの無い厳重な管理保管が求められる実験である。
A、動物実験
動物実験棟は、全施設15棟の内半分近い7棟もあり、ここで薬物動態試験、薬剤安全性試験、薬効・薬理実験薬剤安全性試験、P3微生物使用実験が行われる。製薬の効果が動物実験を通じて試される所である。病原菌を接種し、薬効をしらべる実験もP3施設では計画されている。こうした巨大な動物実験棟(動物実験棟J〜Nの延べ面積は112,500m2で東京ドームの2.5倍の広さに当たる)を併設しているところに、今回の武田薬品研究所建設の特徴がある。
実験動物の種類、量については、企業競争上公開出来ないと武田の見解書は述べているが、一般に実験動物とされている物には、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、犬、猫、鳥、豚、猿、などが上げられるが、どの様なルートで購入し、その管理、飼育給餌、繁殖、解剖、衛生管理、汚物処理、施設管理等はどうなっているのか厳しくチェックされねばならない。
動物実験棟が7棟もあると言うことは、そこに大量の実験動物が飼育保管されているということを意味している。他の化学薬品と違って、実験動物は、呼吸し、物を食べ、汚物を輩出する生き物であるという事であり、病原菌等が接種される動物達からの汚物の排水、排気、並びに日常飼育する人を通じて危険物の外部排出が一番懸念されるところである。
B、P3実験
武田薬品の評価書では、P3実験施設は、遺伝子組み換え操作に関連した微生物の使用実験を行う場合に利用すると説明されている。武田薬品研究所にはハイスループットスクリーニング施設、化合物ライブラリー施設、薬効薬理実験を行う動物実験施設にP3施設が設置されている。HIV、炭疽菌、鳥インフルエンザ菌など伝染性の強い病原菌の実験はP3施設の中で行わなければならないとされている。室内には安全キャビネット、滅菌器オートクレープなどが設置され実験員は前室で上着を着替えて出入りすることになっている。武田薬品は、病原体を含む汚染された空気は、外界に強制排気され、排気口には高性能フィルター(ヘパフィルター)が設置されているので、病原体を完全に捕捉される、と説明しているが、このヘパフィルターは、病原体を殺菌する機能を持っているわけではなく、ヘパフィルターで、0.3ミクロン(1/1000mm)の粒子を99.97%捕捉する(100%ではない!)と言われているが、細菌(0.5〜1ミクロン)は、捕捉することができても、細菌より小さなウイルス(0.02〜0.3ミクロン)は、通過して外に漏れ出してしまうと言われている。また実験員が実験室に入る前に前室で着替えするから人的排出は無いとされているが、シャワー室の設置を義務つけているP4施設と違って、着替えの段階で病原菌が実験員に付着して外部に流出する恐れもあり完璧とは言えない。
C、RI実験
武田薬品の評価書によると、RI実験施設は、放射性同位元素の時間とともに放射線を発して他の元素へと崩壊するものを用い、ハイスループットスクリーニングまたは、薬物動態試験を詳細に実施する場合に利用する施設との事である。放射性物質を保管する倉庫からの出し入れ、放射線を照射された実験物の場外排出が問題となる。
RI排水処理についてはボイラー中水を用いて処理するとだけ記されているが、中水を用いて濃度を薄めるだけなのか、一定期間貯留し、半減を待つのか定かでないが、単なる希釈放水だけなら外部に与える影響はゼロとはいえないものがある。


2,研究所からの汚染排気の大量放出は許されない

武田薬品研究所から、排気、排水、排煙、臭気、焼却残渣が外部に放出される。
バイオ、遺伝子組み換え施設から排出される汚染物について、神奈川県のバイオテクノロジー環境安全管理指針では、「事業者の廃棄物自己処理責任の徹底」の項で生物材料を含有する廃棄物については、発生抑制及び減量化に努めるとともに、事業者の責任において処理、処分を行うこと、と規定している。
以下、武田薬品研究所から排出される汚染物が、適切に自己処理されているか検証してみたい。

<膨大な排気量、武田薬品研究所は巨大な排気塔>
武田薬品の汚染廃棄物の量については、評価書114頁図4−3−2−4「空調等設備系器機の屋上配備平面図」並びに308頁表5−2−5−3「現有施設及び対象事業における施設の諸元表」によって知ることが出来る。
動物焼却設備                    2基 19,700m3/h
個液分離槽    排気送風量   27,000m3×5基=135.000m3/h
創薬化学実験施設 排気送風機 40.000m3×80基=3200.000m3/h
薬効薬理実験施設 排気送風器 80.000m3×45基=3..600.000m3/h
生化学実験施設  排気送風機 20.000m3×60基=1.200.00m3/h  
ボイラー排出ガス量                1基  174.000m3/h
汚染排気・ガス放出量総計          8.328.700m3/h
(表にのっていない数字は、武田薬品より聞取り調査で調べたもの)
武田薬品新研究所から、毎時832万m3もの大量の排気量は、東京ドーム125万m3の6.6個分に相当する巨大な排気塔であることに驚かされる。しかも、武田薬品は、「実験室の作業環境維持の為、排気の再循環は計画しておりません」(見解書61頁)との事であり、上記汚染排気・排ガスは藤沢・鎌倉の人口密集地に放出されてしまうことになるのである。

<完璧とは言えない汚染排気対策>
武田薬品は、こうした排気汚染対策として、「空調等設備系器機の屋上配備平面図」ですべての排気口にスクラバーを取り付けるとし、評価書120頁表4−3−3−2「実験施設の排気処理経過」で次のように除去処理対策を説明している。
スクラバー洗浄〜すべての屋上排気口190箇所に取り付け、排気の洗浄を行おうというもの。しかし、スクラバー洗浄は塩化水素、浮遊物の除去を行うだけで微細のバイオ、遺伝子組み換え物質の除去を行う事が出来る物ではなく、逆に噴霧した散水にくっついて空中に放出されたり、水と一緒に流されてゆく結果、その先の処理が無ければ、荏原ダイオキシン流出事件のように地域や河川に汚染を拡散する元になるものである。
活性炭フィルター〜化学物質の吸着、臭気の除去を行うだけで、微細のバイオ、遺伝子組み換え物質の除去を行う事は出来ない。
プレフィルター〜放射性同位元素を除去すると言うが、空気中のごみやちりエアロゾルを除去するというだけで、原理は定かでない。
ヘパフィルター〜武田薬品の説明では、遺伝子組み換え生物の除去をヘパフィルターで行うとしているが、先にも書いたが0.3ミクロン(1/1000mm)の粒子を99.97%捕捉する(100%ではない!)と言われているが、細菌(0.5〜1ミクロン)は、捕捉することができても、細菌より小さなウイルス(0.02〜0.3ミクロン)は、通過して外に漏れ出してしまうと言われている。

<研究所の作業環境を維持が大切か、住民の安全が大切か>
武田薬品の排気処理対策は、P3施設をのぞき、水溶性有機溶媒、化学物質、アンモニア
メルカブタン、ごみ粉塵、などの対策でしかなく、バイオ、遺伝子組み換え施設から排出される汚染物の対策とはなっていない。不十分な対策の下で、毎時820万m3もの汚染排気を吸わされる住民にとって、日常的な生活安全が根本から崩される問題である。武田薬品は、「実験室の作業環境維持の為、排気の再循環は計画しておりません」との事であるが、実験室の作業環境維持が大切か住民の健康と安全が大切か、タケダイズムを標榜している武田薬品の企業理念が問われる問題である。

<武田薬品は、研究所排気の清浄化再利用システムの導入を>
私たち市民は、実験室内の作業環境維持が不必要だと考えている者ではない、研究所職員の健康と安全を確保することはもとより大切なことである。研究所職員の健康と安全、市民の健康と安全を図るためには、武田薬品は、現在の計画の様な屋上190カ所からの汚染排気を直接大気に放出するシステムを改め、1カ所に集中管理し、空気清浄を行い、排気の循環再利用をはかるべきである。循環再利用を禁じられているP3施設からの排気についても、ボイラー燃焼用空気として利用すれば、排気の完全滅菌も可能ではないか。空調用のボイラー蒸気についても何故再利用しないのか不可解である。蒸気の循環再利用をすれば、使用用水も減り、大気放出も少なくて済むのに、それもしないというのは、これも作業環境維持のためということなのか。
空気清浄システムが技術上出来ないというのならいざ知らず、そうした技術を保有している企業は国内外にたくさんあり、市民の安全確保の為にも職員の安全確保のためにも武田薬品は、こうした汚染排気清浄再利用システム導入にもっとお金をかけるべきではないか。

 

3,研究所からの汚染排水の公共下水道たれ流しは許されない

武田薬品研究所の評価書125頁の図4−3−4−2の「給排水フロー」を見ると、4500m3/日の上水を神奈川県水道局より受け、2200m3/日の排水を公共下水道(藤沢市大清水浄化センター)放流することになっている。
給排水フローでは、上水が下水に行くまでに2300m3少なくなっているが、どうなったのかと武田薬品に問いあわせたところ、約2020m3が空調系で空中に散水、その他280m3が生活用水、実験用水で減少しているとの事であった。

<給水から水放流までの給排水フロー>
上水給水4500m3/日            下水道排水 約2200m3/日
@、生活・厨房用水給水200m3/日   下水道排水 200m3
A、空調系給水3300m3/日      下水道排水 1280m3
* 空中散水 2020m3
(冷却塔用水給水2000m3   〜下水道排水670m3、  *空中散水1330m3)
(ボイラー補給水給水350m3  〜下水道排水110m3、 *空中散水240m3) 
(スクラバー補給水給水950m3 〜下水道排水500m3、 *空中散水450m3)
B、実験室系給水1000m3/日     下水道排水 1000m3

<下水放出は藤沢市との協定違反>
しかし、上記武田薬品の汚染排水は、藤沢市と武田薬品と締結した、昭和53「(トル)年の協定書に基づき、生活排水以外は大清水浄化センターへ排出は出来ない事になっている物ばかりである。
武田薬品との協定では
@、生活排水、厨房排水
これは、大清水浄化センターへ排出することは 昭和53年の武田薬品との協定で認められているところであり問題はない。
A、空調系排水
藤沢市と武田薬品の協定書で、洗浄用、冷却用、ボイラー用の排水の流入は認められておらず、大清水浄化センターへ排出は出来ない事になっている。
B、実験室系排水
洗浄用の工程排水に当たり、大清水浄化センターへ排出は出来ない事になっている。
しかし、武田薬品は、こうした協定があるにもかかわらず、昭和53年の協定は工場と結んだ協定であり、研究所には適用されないと無効を強弁し、研究所の汚染排水を大清水浄化センターに放流しようとしている。そして、こうした詭弁に基づき下水に流し込むことをいいことに、排水を環境アセスの対象から外したばかりか、神奈川県のバイオテクノロジー環境安全管理指針、「事業者の廃棄物自己処理責任の徹底」の精神に反し、自ら処理しようとせず、バイオ汚染物に対する処理能力が全くない大清水浄化センターへ汚染排水を流し込もうとしているのである。二重に排出者責任の放棄と言わなければならない。

<武田薬品のバイオ汚染排水・動物実験排水を公共下水道に流し込むのは不適切>
協定違反問題と合わせて、武田薬品のバイオ排水を大清水浄化センターへ流し込むことの問題点を個別に見てみよう。
@、スクラバー排水
スクラバー排水は汚染排気の項で述べたように、屋上に排気口190箇所に取り付け、排気の洗浄を行おうというもの。しかし、スクラバー洗浄は噴霧した散水にくっついて、浮遊物や微細のバイオ、遺伝子組み換え物質が、水と一緒に下水に流されてゆく事になる。大清水浄化センターにはバイオ遺伝子組み換え物質を処理する能力が無いので、境川下流や江ノ島海岸まで流れてゆくことになる。汚染されたスクラバー排水を大清水浄化センターに流し込むのは不適切である。
A、一般動物排水
個液分離槽で個体を除去しただけで下水に流し込むフローとなっている。動物実験に供された動物排水は、病原菌が接種された物もあり、食物残渣、糞尿、血液、ケージ洗浄水などきわめて危険性の高い排水である。評価書が言うような人間の生活排水と同様に見るべきではない。個液分離だけでは何らその危険性を排除するものではない。
動物排水を大清水浄化センターに流し込むのは不適切である。
B、一般実験排水
一般実験排水は、重金属、有機系溶媒廃液を除去しただけで残りは下水に流すフローとなっている。しかし、実験に使った用具の洗浄、手洗い、部屋の洗浄水の汚染に対する事前の措置は何ら執られず、バイオ、遺伝子組み換え物質が放流する危険性は十分ある。こうした洗浄水を大清水浄化センターに流し込むのは不適切である。
C、P3排水
P3排水は、重金属、有機系溶媒廃液を除去し滅菌器にかけ外部廃棄物業者に渡す
その他は滅菌器にかけ、下水に放流するフローになっている。しかし、すべてのP3排水が滅菌器にかけられるかは不明である。P3排水は、一切、下水に流すべきではない。
D、RI排水
RI排水も、重金属、有機系溶媒廃液を除去し滅菌器にかけ外部廃棄物業者に渡すフローになっている。しかしその他はRI処理後下水に流す事になっている。RI処理は中水による希釈だけで半減期を待たず放流されるとするならば、下水に流す危険性が無くなった訳ではない。RI排水は、下水に流すべきではない。

<武田薬品の汚染排水は、下水道放流ではなく、
完全クローズドの排水処理施設の設置を>
武田薬品研究所から放出される汚染排水は、量的に見ても決して自家処理できないほど大量の排水ではない。空調汚水をもっと循環使用すれは排水量も少なくなる。また、技術的に見ても自己処理出来ない物ではない。藤沢市との協定遵守、神奈川県のバイオテクノロジー環境安全管理指針に照らしても自己処理が原則であり、武田薬品は研究所からの汚染排水は、武田薬品自らが処理し、地域に放流しない完全クローズドの排水処理施設を設置すべきである。

 

4、排気と共に放出される水滴空中散水の危険性

第3項の排水問題で見たように、武田薬品研究所からは、毎時820万m3の排気と
ともに、毎日屋上から2020m3もの水が排出される計画になっている。
冷却塔用水からの空中散水    1330m3
ボイラー補給水からの空中散水  240m3 
スクラバー補給水からの空中散水  450m3    計 2020m3/日
これらの散水は、冷却され、又は水滴となって、近隣地域に散布されることになる。
最近都内での水冷空調は減ったのでクーリングタワーからの水滴が降ってくる現象は少なくなったが、武田製薬研究所の場合は、蒸気吸収型空調設備であり、各排気口にはスクラバー設備が施されているために、汚染された排気と共に近隣に水滴が舞い落ちることになる。マンション、病院、福祉施設、学校が密集している地域において、汚染排気とともに、大量の水滴を地域近隣に降りそそぐなどということは許されることではない。

 

5、焼却炉から出る排煙・臭気公害の問題点

7月21日の武田製薬主催の説明会でも問題になったが、実験動物死骸焼却用の焼却炉からの臭気、煤煙公害は、近隣地域住民の一番関心を寄せる問題である。
武田の実験動物焼却炉は、焼却能力150kg/h×2基×1日6時間稼働=1日1800kg焼却の焼却炉である。1日1800kg焼却というと、体重60kgの人間だと30体にあたり、かなりの量の焼却炉である。
武田薬品は、臭いも煙も出ませんなどと説明していたが、武田の実験動物焼却炉は、一般の火葬場と違って、近接地域では目の前で焼却が行われるのと同じで、臭気が一切漂わないなどということはあり得ない事である。ましてや実験動物の死骸焼却炉の煙や臭いともなれば、生理的にも嫌悪感を感ずるものであり、人間の火葬場の様な煙突のない無臭無煙の焼却炉が求められなければならない。

 

6、廃棄物の汚染区域広域化の危険性
武田薬品研究所から排出される汚染排気、汚染排水は、周辺地域だけにとどまらず広い範囲にわたって影響を被る点が大きな問題である。
前項で指摘した、汚染排気は、毎時820万m3にものぼり、周囲3kmを越えて遙か遠くまで影響を与えるのは必至である。1日に換算すると総排気量は820万×24H=1億9680万m3にものぼり、武田の敷地面積25万m2で割ると武田製薬の敷地上空787mまで汚染排気がたまるという事になるのである。このような大量の汚染排気が周囲に与える影響はきわめて大きく、汚染排気中にバイオ、遺伝子組み換え菌が混入していた場合は、大変な事態が発生しかねないものである。
また、汚染排水は、大清水浄化センターではバイオ遺伝子組み換え菌に対する適切な措置は講じられないので、武田薬品から流し込む排水は境川に垂れ流したのと同じ事になり、境川流域地域ばかりでなく、江ノ島海岸まで被害が及ぶことになる。又、武田薬品の屋上から汚染排気がスクラバー散水に乗って地域に拡散した場合は、最終的には雨水と一緒に柏尾川に流れ込み、やがては境川に合流し、江ノ島海岸まで流れてゆく事になり、柏尾川水域からの汚染の影響も加わることになることも見落としてはならない。
このように、武田薬品研究上の汚染排気、汚染排水は、周辺の藤沢、鎌倉、横浜地域ばかりでなく、それ以上の広範囲の地域、境川流域地域、江ノ島海岸地域まで及ぶ事になるのである。武田薬品が地域との共生を掲げるなら、汚染廃棄物を地域にまき散らすのではなく、自社内で処理するシステムを構築すべきである。